東京都の男女平等参画推進拠点である東京ウィメンズプラザの注目企画となっている、「トークカフェ」の第2回が9月13日(土)に開催され、恋愛や結婚に関する悩みやモヤモヤを抱える10代から30代の女性たちが参加し、カフェでおしゃべりをするようなリラックスした時間を過ごしました。
協力団体に「株式会社TIEWA」から合田文さんほか4名のファシリテーターを迎え、恋愛や結婚について感じているモヤモヤや価値観、周りとの心地の良い距離感の作り方について、グループトークをしながら一緒に考えてみました。
今回の「トークカフェ」を進行する合田さんほか4名のファシリテーターによる自己紹介から第2回のトークカフェがスタートしました。
「まずは、今日のルールを確認しておきましょう」と合田さん。「皆さんにどんどん話して欲しいですが、まずは、お互いを尊重しておしゃべりしてください。無理して話さなくても大丈夫! ここまで自分は話したいと思う、そういうところを大事にしたいと思います。お茶とお菓子を用意していますので、飲みながら、食べながら楽しんでください」と、参加者の皆さんが自由におしゃべりできるような雰囲気づくりが感じられました。
「早速ですが、まずは私から恋愛ってそもそも何? ということについて話をさせていただき、その後皆さんが感じるモヤモヤを吐き出していただこうと思います。」と合田さんは、今日のテーマである“私らしい恋愛・結婚との向き合い方”について、国語辞典で“恋愛”の意味を調べてみた経験を紹介しました。
国語辞典で“恋愛”を調べると、以前は“特定の異性に対するもの”と書かれていたが、最近の国語辞典では“異性”の文字がなくなっている例もあることを紹介し、「性の考え方や自分の性をどう感じているのかは、人それぞれで違っていることが大事だと思っています。」と合田さん。参加者は合田さんの話をヒントに、自分が恋愛で感じたモヤモヤを書き出し、さらに書き出したメモをもとにグループトークを行いました。「周りの人と同じにならなくても大丈夫です。グループトークのいいところは、自分にはない感覚に気づけることです。他の意見を聞いて違いを楽しむのもいいですよ。」と合田さん。
テーブルごとのファシリテーターが、順番に参加者に話題を振ることで全員がお話しできるようにし、テーブルのみんなで一緒に考えました。
徐々に参加者の皆さんの緊張感もほぐれ、恋愛において起こる様々な参加者のエピソードトークに、テーブルのファシリテーターを中心に笑いも起こっていました。
ファシリテーターが参加者一人ひとりの意見を引き出しながらグループトークが進みました。
自分が恋愛で感じたモヤモヤを書き出しました。
最初のグループトークを終え、「皆さんの話を聞いてみると、モヤモヤしている理由が『家父長制』に関係していると気づいた人もいるかもしれません。」と合田さん。「結婚すると女性が苗字を変えるのは当たり前」、「結婚してこそ一人前」など性別役割分担を前提とした家父長制や家制度の名残が、今なお社会構造や社会規範、無意識のすり込みとして存在しているという話には、参加者たちも大きく頷いていました。
「結婚は人生の大切なゴール。そういう染みついた価値観に対して違和感を覚えることは決しておかしなことではないはずです。」と合田さん。人それぞれに様々な価値観があり、インターネットが普及した現代では、日常的にそうした多様な価値観にふれることができる社会に変化してきたと話しました。
2つ目のグループトークは、そうした社会の価値観が、自分自身の恋愛や結婚のモヤモヤに、どのように関係しているのかを考える時間です。「この作業は、自分が感じているモヤモヤがどこから来ているのか、自分自身と向き合う作業になります。」と合田さん。
ファシリテーターが中心となり、参加者の皆さんは自分に影響を与えていると思う社会の慣習やルールを書き出してみました。参加者のメモには「パートナーがいる友人との会話」や「テレビの恋愛ドラマのストーリー」など、日々生活の中でいろいろなものに影響されている様子が伺えました。
思いつくままにメモへ書き出しました。
書き出したメモを見返すことで、自分の価値観について考えるきっかけになります。
「皆さん、いろいろお話できましたか。次が最後のセクションです。」と合田さんは“バウンダリー(境界線)”という言葉を紹介しました。
「バウンダリー(境界線)とは、自分の周りにも、相手の周りにも、お互いを守るために、意識的に引かなければいけない境界線のこと。誰もが尊重されなければならないものです。親しい関係ほど、バウンダリー(境界線)をあいまいにしがちで、そこから抜け出すのはむずかしいものです。“自分と相手はちがう”という感覚が持てないと、思い通りにならない現実に落ち込みやすくなったり、無意識のうちに相手を傷つけてしまうこともあります。
それと同時に、Stand in someone’s shoes/Put yourself in someone’s shoes.(他者の立場になって考えること)という言葉を紹介していただきました。あなたは“あなた”、私は“私”と切り分けることは大事だけれど、社会的な格差や構造的な不平等について、自分だけでなく相手の立場に立って理解しようとすることも大切です。
「客観的に自分の状態をとらえ、一人ひとりがバウンダリー(境界線)を持った存在であることを意識することで、心が少し楽になります。」と合田さん。自分自身を中心にした大きな円を描き、バウンダリー(境界線)マップを作ってみることで自分と社会の境界線を意識するワークが行われました。
自分の声と社会の声を視覚化するバウンダリー(境界線)マップ。
バウンダリー(境界線)マップを作るワークの後で合田さんは、「どうしても他者から影響を受けてしまうことはあると思いますが、それは仕方のないこと。でも円の中に入り込ませすぎないように、自分の頭の中にバウンダリー(境界線)、境界線を作っておくことが必要です。パートナーや家族の言うことに、プレッシャーを感じている人もいると思いますが、他者がどこまで入ってくることを許すのかを決めるのは、自分自身だということを意識したいですね。」とバウンダリー(境界線)マップによって視覚化された自分自身の意識の重要さを話しました。「私自身も日常の中でバウンダリー(境界線)を意識するようにしていて、つらいニュースなどに引きずられそうなときには、“ここでいったん立ち止まろう”と意識しています。」と合田さん。
「集合写真を撮ったときのことを思い出してみてください。結構みんな、自分の顔しか見ていなかったりしませんか?そう考えると、私のことを思うほど気にしてる人って、実はそんなにいないかもと思うようになったんです。『こう思われたら、こう言われたらどうしよう』と社会の規範を気にしたり、自分を責めてしまったりすることもあると思います。そんな社会が少しずつ変わっていくことと同時に、ご自身の本当の気持ちや意思と向き合って、大切にできる時間が皆さんの中で少しでも増えたらと思います。」と合田さんはプログラムを締めくくりました。
様々な世代の人たちと交流することで、自分の価値観についても考えるきっかけに。
多くの参加者が終了後もそのままテーブルに残り、ファシリテーターと話し込んでいる様子が見られました。終了後に行ったアンケートでは、「同じような悩みを持つ人がいると知り心強かった」という回答が複数あり、参加したことで得られた共感や「居心地よく安心して話せた」「普段話せないことを話せる貴重な場」など、会場の雰囲気の良さが伺える回答も複数ありました。また「自分の意見と違う考えや立場の人の意見を聞けた」などグループセッションによる学びも多かったことが感じられました。
皆さん、ご参加ありがとうございました。
最後まで残って参加者からの相談に答えていただいたファシリテーターのみなさん。
写真左から朋花さん、合田さん、渓花さん、彩葉さんです。
東京ウィメンズプラザトークカフェ事務局
〒105-0013 東京都港区浜松町1-8-6 FK ビル2F
TEL:03-5422-1146 (平日10 時00分~ 17 時00分)
E-mail: twp-talkcafe2025@ohwada-gumi.co.jp
※本事業の事務局は、東京都から株式会社おおわだぐみに運営を委託しております。
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